水源連:Japan River Keeper Alliance

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ダム貯水容量、2倍に 「利水用」も洪水時に活用―政府 

2020年6月5日
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6月4日に首相官邸で「既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議」第4回が開かれました。その記事とニュースを掲載します。
会議の資料は「既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kisondam_kouzuichousetsu/index.html
の各回の議事次第を開けると、掲載されています。
第4回の会議資料は、資料1「治水協定締結の進捗状況」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kisondam_kouzuichousetsu/dai4/siryou1.pdf
と資料2「1級水系における各水系の水害対策に使える容量 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kisondam_kouzuichousetsu/dai4/siryou2.pdf です。
ダムの事前放流を行うと、ダムの洪水調節容量が約2倍になるという記事の話は資料2の合計値をもとにしています。
この資料2は水系ごとに集計したもので、各ダムの数字(955ダム)は第3回の資料「参考資料 一級水系のダム一覧」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kisondam_kouzuichousetsu/dai3/sankou.pdf に示されています。
しかし、この資料を見ると、事前放流で洪水調節容量が約2倍になるという話はあくまで機械的に計算した結果であって、実際にどれほど意味がある計算なのか不明です。
個々のダムの数字を見ると、事前放流後の洪水調節容量が有効貯水容量より大きくなっているダムが少なからずあります。これは発電等の放流管が有効貯水容量の下部にある場合、堆砂容量の方まで食い込んで放流を続ける場合であって、そのようなことが実際にできるのか、きわめて疑問です。
また、この検討会議は菅義偉官房長官の肝いりで設置されたもので、議長は菅氏側近の和泉洋人内閣総理大臣補佐官です。どのような思惑で二人がこの問題に関わっているのか、首を傾げるところがあります。


洪水対処能力 既存ダム活用で倍増 都心部も手厚く

菅氏「八ツ場ダム50個相当」 利根川や多摩川など全国で
(日本経済新聞 電子版2020/6/4 20:00)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59989080U0A600C2PP8000/

政府は4日、台風などによる洪水への対処能力を倍増させる対策案をとりまとめた。菅義偉官房長官が既存の利水ダムの活用などによって新たなダムをつくらずに八ツ場ダム50個に相当する有効貯水容量を確保したと公表した。巨額の費用と時間を投じてきた治水対策を転換する契機となる。
洪水対策は昨年、日本列島を襲った台風19号の甚大な被害を受け、菅氏のもとで検討を進めてきた。菅氏は同日、首相官邸の検討会議で「電力や農業用水などのダムを最大限活用し、洪水調節機能の強化に取り組む。国民の生命と財産を水害から守る」と述べた。
急激な豪雨が降った際、一時的にダムにため込む洪水調節容量を全国でこれまでの46億立方メートルから91億立方メートルに増やす。群馬県の八ツ場ダムの有効貯水容量は0.9億立方メートルだ。新たに生まれる容量は八ツ場ダム50個分に相当する。
神奈川県の武蔵小杉などの浸水被害が生じた多摩川水系で新たに3600万立方メートルの容量を確保した。昨年の台風19号と同程度の台風なら浸水の被害を防ぐことができるという。
利根川水系のダムの貯水容量も3.6億立方メートルから6.3億立方メートルに増える。利根川は都心部を流れる江戸川や荒川などを支流に持ち、都市部の被害軽減につながる。大阪を流れる淀川や愛知などの木曽川なども従来の2倍程度の能力の確保にメドをつけた。
ダムに頼ってきた従来の洪水対策は効果が出るまでの費用や時間が課題だった。八ツ場ダムは1952年に調査に着手し、完成まで70年と総額5000億円の事業費がかかった。
それでも地球温暖化を背景とした豪雨への対応は難しく、昨年の台風19号は5県6カ所のダムで決壊を防ぐための緊急放流をした。緊急放流は下流の河川を氾濫させる危険性があり、人的な被害も生じる。
今回はこれまでの治水対策を転換し、短期間・低コストで対処した。精緻化した天気予報を元に大雨が予想される1~3日前にダムの水位を下げる事前放流を活用する。ダム自体の工事はしなくとも、豪雨時に活用できる容量を増やし、ダムの決壊や緊急放流を防ぎやすくする。
縦割り行政を排し、治水に使ってこなかった利水ダムも活用する。洪水対策は国土交通省の所管ダムが中心だった。経済産業省や農水省が所管する水力発電や農業、上下水道などに使う利水ダムは発電や農業用水の目的にしか使われなかった。
首相官邸が関係省庁に指示し、これまでに109の1級水系のうちダムのある全ての水系で電力や農業などの管理者と治水協定を結んだ。今月から事前放流などの運用を始め、今年の梅雨や台風に備える。
人工知能(AI)も重視する。事前放流は気象庁の気象予測モデルを基準に判断をする。気象庁は気象衛星「ひまわり」のデータや最新式レーダーの導入に加え、新たなAI技術の活用を進める。


ダムの洪水調節機能強化「八ッ場ダム50個分を確保」官房長官

(NHK2020年6月4日 18時19分)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200604/k10012458261000.html

去年の豪雨災害を教訓に、ダムの洪水調節機能の強化を検討する関係省庁の会議が開かれ、菅官房長官は、発電や農業用水用のダムも活用できるようにするなど調整を進めた結果、洪水対策に八ッ場ダム50個分にあたる容量が確保できたと明らかにしました。
政府は、去年の台風19号などの豪雨災害を踏まえ、ダムによる洪水調節機能を強化する必要があるとして、発電や農業用水用も含む、全国のおよそ1500のダムについて、洪水の危険が予想された場合の「事前放流」など、洪水対策に活用できるか調整を進めてきました。
4日開かれた関係省庁の会議で、菅官房長官は「すべてのダムの有効貯水容量のうち、水害対策に使うことのできる容量を、これまでのおよそ3割からおよそ6割へと倍増することができた」と述べ、拡大できた容量は、群馬県の八ッ場ダム50個分にあたると明らかにしました。
そのうえで、「これから本格的な雨の時期を迎えるなか、国民の生命と財産を水害から守るため、既存ダムの事前放流など、国土交通省を中心に一元的に行う新たな運用を開始してもらいたい」と指示しました。また、菅官房長官は、さらなる容量の拡大に向けて検討を進めるとともに、降雨量やダムへの流入量などをAI=人工知能で予測する仕組みの早期の実用化を目指す考えを示しました。


ダム貯水容量、2倍に 「利水用」も洪水時に活用―政府

(時事通信2020年06月04日18時42分)https://www.jiji.com/jc/article?k=2020060401003&g=soc
(写真)既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議であいさつする菅義偉官房長官(手前)=4日午後、首相官邸
政府は4日、ダムによる治水強化に向けた関係省庁の検討会議を首相官邸で開き、水力発電や農業用水などのための「利水ダム」を洪水対策に活用する協定が全ての1級河川で締結されたことを報告した。これにより、1級河川の洪水時に活用できるダムの貯水容量は従来の2倍に増えた。
1級河川にあるダム955カ所のうち、主に治水向けの「多目的ダム」は335カ所。洪水対策に活用できる貯水容量は、全ダムの約3割にとどまっていた。
今回の協定締結で、620カ所ある利水ダムが加わり、洪水対策のための貯水容量は約45億トン増え、全ダムの約6割を活用できるようになった。

 

8人死亡…ダム操作訴訟初弁論 原告「ダム事務所の見通し甘かった」【愛媛】

2020年6月4日
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2018年7月の西日本豪雨では愛媛県・肱川で国交省の野村ダム・鹿野川ダムの緊急放流により、ダム下流域は大氾濫し、8人の方が亡くなり、凄まじい被害を受けました。
遺族や住民はダムを管理する国と西予市や大洲市に対して、8000万円あまりの損害賠償を求める裁判を起こしています。
この裁判の第1回口頭弁論が松山地裁で開かれました。そのニュースと記事を掲載します。。


8人死亡…ダム操作訴訟初弁論 原告「ダム事務所の見通し甘かった」【愛媛

(テレビ愛媛 2020/06/03 17:19) https://news.yahoo.co.jp/articles/c6ba9edbf56b9e183195f2793442530c2cee68de

西日本豪雨の被害者の遺族らが国などに対して損害賠償を求めている裁判の初めての口頭弁論が3日、松山地裁で開かれました。遺族は「ダム事務所や行政の見通しが甘かった」と主張しました。
両親を亡くした原告女性「ダム操作、避難指示が少しでも早く人命第一に考えてもらってたら、違ったこともある。それを明らかにしていきたい」
おととしの西日本豪雨では、野村ダムと鹿野川ダムの緊急放流の後、下流の肱川がはん濫し8人が死亡し、遺族や住民はダムを管理する国と西予市や大洲市に対して、8000万円あまりの損害賠償を求める裁判を起こしています。
初めての口頭弁論では、西予市野村町で両親が犠牲となった女性が意見陳述。「ダム事務所や西予市、大洲市が甘い見通しで対応した」として、ダムの操作規則や避難指示のあり方などを厳しく批判しました。
訴えられている国や市は争う姿勢で、次の弁論は9月9日に開かれる予定です。


ダム放流訴訟 国など争う姿勢

(NHK 2020年06月03日 18時21分)https://www3.nhk.or.jp/matsuyama-news/20200603/8000006701.html

おととしの西日本豪雨で、西予市と大洲市の2つのダムが放流したあと川が氾濫し、8人が死亡したことをめぐり、一部の遺族や浸水の被害者が国と2つの市に賠償を求めている裁判が始まり、国や市は訴えを退けるよう求めました。

おととしの西日本豪雨では、西予市の野村ダムと大洲市の鹿野川ダムの容量がいっぱいになり、緊急放流が行われたあと下流の肱川が氾濫して避難勧告や避難指示が出ていた流域の8人が死亡しました。
このうち、亡くなった夫婦の遺族と、浸水の被害者のあわせて8人がことし1月にダムを管理する国と、避難の対応にあたった西予市と大洲市に8000万円あまりの賠償を求める訴えを起こしました。
裁判は、3日から松山地方裁判所で始まり、原告の1人がダムを管理している国について「大規模な洪水に対応できないダムの操作規則を作るのはおかしい。実際に行った放流データを明らかにしてほしい」と求めたほか、国や2つの市に対して「甘い見通しで対応していた」と意見を述べました。
これに対して国と2つの市は、訴えを退けるよう求めました。
原告には新たに3人が加わる見込みで、裁判では、国のダムの操作に過失がなかったかや、西予市と大洲市が住民に情報を適切に伝えていたかなどが争われます。

 

遺族「命より規則大事か」 西日本豪雨訴訟で初弁論 松山地裁
(時事通信2020/6/3(水) 17:53配信)https://news.yahoo.co.jp/articles/a06dc64369d01c73c59bdf91af0c9188d364b1d8

2018年の西日本豪雨の際、決壊防止のため行われたダムの緊急放流で被害を受けたとして、愛媛県の住民ら8人が、国などに約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が3日、松山地裁(梅本幸作裁判長)であった。
両親を亡くした原告の女性(50)が意見陳述し、ダムの事務所が操作規則に従ったと主張していることに触れ「人の命よりも規則の方が大事だと言うのか」と語った。
これに対し、国と大洲市、西予市は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
訴状などによると、国土交通省四国地方整備局は18年7月7日、鹿野川ダム(愛媛県大洲市)と野村ダム(同県西予市)で緊急放流を行い、肱川が氾濫。流域の住宅が浸水などの被害に遭い、8人が死亡した。
原告はダムの操作が不適切だったと主張。大量の雨水が流入することを予測できたのに事前放流を怠ったと指摘している。
大洲、西予両市に対しても事前の情報提供が不十分だったとしている。


ダム緊急放流訴訟国全面的に争う姿勢(愛媛県)

(南海放送 2020/06/03 16:59) https://news.yahoo.co.jp/articles/99e505721dc44ed1423c27f20414958658c5b096

西日本豪雨で、野村ダムと鹿野川ダムが行った緊急放流の後、浸水被害が発生したのは、ダムの操作に重大な過失があったからなどとして、遺族らが国と西予市、大洲市に8100万円余りの損害賠償を求めている裁判。3日、松山地裁で第1回口頭弁論が開かれ、国と2つの市は、全面的に争う姿勢を示した。
訴えを起こしているのは、西日本豪雨の浸水被害により、西予市野村町で両親を亡くした遺族と大洲市の被災者のあわせて8人。
2018年の西日本豪雨では、野村ダムと鹿野川ダムが緊急放流を行った後、ダムの下流にある肱川が氾濫して、大規模な浸水被害が起こり、西予市と大洲市であわせて8人が亡くなった。

訴えによると、遺族らは2つのダムの管理事務所が事前放流を十分に行わず、安全基準のおよそ6倍の水を放流した操作には重大な過失があるとしている。また、西予市と大洲市は、住民に対する放流などの情報提供に過失があったとして、ダムを管理する国と2つの市にあわせて8100万円余りの損害賠償を求めている。
3日松山地裁で開かれた第一回口頭弁論で国と西予市、大洲市は、いずれも請求の棄却を求め、全面的に争う姿勢を示した。


豪雨・ダム操作訴訟 原告「放流データ明示を」、国など棄却求める 松山地裁初弁

(愛媛新聞2020//4(木) 9:37配信)https://news.yahoo.co.jp/articles/28cc9e9889e97a5772b497a21a99c382539dc755

(写真)西日本豪雨時のダム操作に問題があったとして国などを提訴した訴訟で松山地裁に入る原告団=3日午後、松山市一番町3丁目
2018年7月の西日本豪雨時の洪水で被害が拡大し犠牲者が出たのは、野村ダム(愛媛県西予市)、鹿野川ダム(大洲市)の放流判断と、西予、大洲両市の避難情報の提供に誤りがあったことなどが原因として、西予市で両親を亡くした遺族や大洲市の住民ら計8人が両ダムを管理する国と、両市に計約8118万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が3日、松山地裁であり、国などは請求棄却を求めた。

安威川タム訴訟、住民敗訴公金支出差し止め請求 大阪地裁退ける

2020年6月4日
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大阪府が建設中の安威川ダム(同府茨木市)は治水効果がなく、崩落の危険性が高いとして、住民らが府に公金の支出差し止めを求めた訴訟の判決が大阪地裁で昨日(6月3日)、ありました。
残念ながら、住民側の敗訴でした。
この判決を伝えるニュースと記事を掲載します。
私(嶋津)もこの裁判には2014年頃から関わり、治水面で無意味なダムであることを示す書面の作成に力を注いできました。
そのような経緯もありますので、今回の判決は本当に残念です。
判決文をざっと読んでみましたが、裁判所の判断はすべて被告側を勝たせるという結論が先にあって書かれており、どうしようもありません。
ダム関係の裁判で住民側の敗訴が続いており、何ともやりきれない思いです。


安威川タム訴訟、住民敗訴公金支出差し止め請求

(共同通信 2020年6月3日12:29)https://www.47news.jp/video/kyodo-video/4876091.html

大阪府が建設中の安威川ダム(同府茨木市)治水効果がなく建設計画は違法だとして、住民らが府に公金の支出差し止めを求めた訴訟の判決で大阪地裁(三輪方大裁判長)は3日、請求を退けた。
住民側は訴状で予定地周辺には複数の活断層があり、岩盤の強度がもろく、洪水時を想定した河川の流量設定も不合理としていた。
ダム事業は豪雨災害洪水を受け、1967年に予備調査を開始、本体工事は2014年に着手し、2022年に完成予定としている。
国の補助金対象で、全体事業費は約1536億円。


安威川ダム建設中止の訴え 大阪地裁退ける

(毎日放送 2020/06/03 23:15) https://news.yahoo.co.jp/articles/bed9a28c528de0266b676b49d773b246f6b1eef9
(写真) 安威川ダム建設中止の訴え 大阪地裁退ける
大阪府茨木市で建設途中の安威川ダムの建設差し止めを求めて地元住民らが大阪府を提訴していた問題で、大阪地裁は住民らの訴えを退けました。
大阪府は府北部を流れる安威川流域の洪水を防ぐため、1536億円をかけて大阪府茨木市で安威川ダムの建設を進めていて、再来年に完成する予定です。
この川の下流に住む大阪府茨木市の住人ら4人が2014年、ダム周辺の地盤は脆弱で地震が起きると崩落の危険性が高いとして大阪府に建設費の支出差し止めなどを求め大阪地裁に提訴していました。
6月3日の判決で、大阪地裁は「大阪府は事前に断層や地形について適切に調査していて、ダム周辺が複数の断層帯に囲まれていて地震により崩落する危険性があるとはいえず、地質もダム建設に不適であるということはできない」などとして住民らの訴えを退けました。住民らは判決を不服として控訴する方針です。


安威川ダム訴訟 住民側訴え却下 地裁判決 /大阪

(毎日新聞大阪版2020年6月4日)https://mainichi.jp/articles/20200604/ddl/k27/040/258000c

府が治水対策として建設を進めている安威川(あいがわ)ダム(茨木市)を巡り、地元住民らが府に公金支出の差し止めを求めた訴訟の判決で、大阪地裁の三輪方大裁判長(森鍵一裁判長代読)は3日、住民側の訴えを却下した。
府によると、ダムは貯水量1800万トンで2024年の完成を見込む。総事業費は約1536億円に上り、既に約8割分を支出している。
判決は、終了した事業の公金支出について「差し止めの対象を欠く」として訴えを不適法と判断。住民側はダムが断層に囲まれて地震で崩壊する危険性があると主張したが、「断層の評価は不適切と言えず、基礎地盤などは安全性に欠くと認められない」と退けた。【伊藤遥】


安威川ダム建設中止の訴え退ける

(NHK2020年06月03日 16時19分) https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20200603/2000030559.html
大阪府が茨木市に建設を進めている安威川ダムについて、反対する地元の住民が地震などで崩壊する危険性があるとして建設の中止を求めた裁判で、大阪地方裁判所は3日、「安全性を欠くとはいえない」と判断し、訴えを退けました。
安威川ダムは、大阪府が府北部の安威川流域の洪水を防ぐため、1536億円をかけて6年前から建設を進めている、総貯水容量が京セラドーム大阪およそ15杯分の1800万立方メートルのダムで2年後(令和4年)に本体が完成する予定です。
このダムをめぐり、大阪・茨木市の安威川流域に住む住民4人がダムの周辺には多くの断層が入り組み、地盤も弱く地震などでダムが崩壊する危険性があるなどとして、建設の中止を求める裁判を起こしていました。
3日の判決で大阪地方裁判所の三輪方大裁判長は、「断層についての府側の専門家の調査手法は適切で、建設するうえで注意は必要ないという判断は不合理ではない。ダムの地盤も弱い部分は補強工事が行われていて、安全性を欠くとはいえない」と述べ、訴えを退けました。
判決について原告の1人、江菅洋一さんは、「こちらが主張した活断層の危険性などにきちんと触れられていないと思うので控訴する」とコメントしています。
一方、大阪府は、「府民の安心・安全のため今後もダムの完成に向け着実に工事を進めていく」というコメントを出しました。
【安威川ダムとは】。
安威川ダムは、茨木市を流れる安威川の流域で53年前の昭和42年に起きた豪雨災害をきっかけに、洪水対策と生活用水の確保のため大阪府が建設を計画しました。
その後、府の水の需要見通しが少なくなったため、洪水対策のみを目的としたダムに計画変更されました。
10年前(平成22年)、国のダム事業見直しの対象となりましたが、ほかの洪水対策より費用面や完成時期などからもっとも有効として事業が継続されました。
そして6年前(平成26年)からダムの本体工事が始まり、これまでに総事業費の8割にあたる1224億円が使われました。
府によりますと、ダムの本体工事が始まったあと、地盤の風化が発見されたり、大雨によるひび割れが発生したりしてい

丹生ダム元予定地、整備対応方針で関係5者が合意 /滋賀

淀川水系で中止が決定している水資源機構の丹生ダムの買収済み用地などの対応方針について関係機関が合意したという記事を掲載します。
2003年に淀川水系流域委員会が原則中止を提言した5ダムのその後の状況は次の通りです。

余野川ダム  2008年に中止決定。
丹生ダム   2014年に中止決定。
川上ダム  本体工事中で、2022年度に完成予定。伊賀市民が反対運動に取り組んでいる。
天ケ瀬ダム再開発  工事中で2021年度に完成予定。京都地裁で公金支出差し止め訴訟の係争中(結審)
大戸川ダム  凍結中。三日月大造滋賀県知事は推進に方向転換したが、京都府と大阪府が同意していない。

丹生ダム元予定地、整備対応方針で関係5者が合意 /滋賀
(毎日新聞滋賀版2020年6月3日)https://mainichi.jp/articles/20200603/ddl/k25/010/357000c

三日月大造知事は2日、2016年7月に建設の中止が決まった「丹生(にう)ダム」(長浜市)の買収済み用地などの対応方針について、地元住民でつくる丹生ダム対策委員会と国土交通省近畿地方整備局、県、長浜市、水資源機構の5者で合意したと発表した。
5者による協議会は16年から継続的に開催されているが、20年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、5月20日に書面で開催し、同25日に合意した。
ダムの建設中止に伴う措置として、買収済み用地(351ヘクタール)▽残存山林(3159ヘクタール)▽付け替え県道(1・9キロ)――の3点について合意した。
ダムとして利用される予定だった買収済み用地と、ダムが完成した時に使うため工事途中だった付け替え県道は、県が水資源機構から引き継ぐ。
買収済み用地の上部に位置する残存山林については、水資源機構が所有者に補償金を支払うなどして対応する。【諸隈美紗稀】

まるでゾンビ、45年間本体未着工のダム計画 徹底抗戦13世帯、長崎県「実力行使も選択肢」

2020年6月1日
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石木ダム問題についての全国新聞ネットの記事を掲載します。
この記事のタイトルに書かれているように石木ダムはまさしくゾンビです。必要性がなくなったので、とっくに中止されるべき事業であるのに、いまだに地元住民を苦しめています。

まるでゾンビ、45年間本体未着工のダム計画 徹底抗戦13世帯、長崎県「実力行使も選択肢」
(全国新聞ネット 2020/06/01 07:00)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ffd8bbc9acb74247fa275b3b7142b41b109d7785

© 全国新聞ネット 長崎・石木ダム建設予定地
45年前に建設が決まったが、いまだに本体の着工すらしていないダム計画が長崎県で生き続けている。まるでゾンビのような公共事業は、石木ダム計画だ。県と佐世保市が川棚町の石木川流域に予定。ダム建設に伴う移転対象の約8割に当たる54世帯が既に転居した一方、水没予定地の13世帯約60人が残り「死んでもふるさとを離れない」と徹底抗戦の構えだ。住民は見直しを含めた対話を求めるが、県側は住民や家屋を撤去して強制的に土地を取り上げる〝実力行使〟の行政代執行を「選択肢の一つ」と言い放つ。両者の深い溝は埋まりそうにもない。(共同通信・石川陽一)

▽強制測量の記憶
生い茂る木々の間から響く鳥の声。透き通るような清流には、夏になると無数の蛍が舞う。そんな集落にダム建設が決まったのは、1975年のことだった。「こんなに美しい場所は他にないよ」と笑う松本好央さん(45)は、その年に生まれた。水没予定地の川棚町川原(こうばる)地区で鉄工所を営む。仕事後に自宅の窓から田園風景を眺め、一杯やるのが最高の楽しみだ。
© 全国新聞ネット 石木ダムの水没予定地になっている長崎県川棚町の自宅付近で、思いを語る松本好央さん=19年10月9日
82年5月、小学2年生だった松本さんは初めてダム問題を意識することになる。県が県警機動隊を動員し、建設予定地の強制測量に踏み切ったのだ。学校を休んで大人や近所の子どもたちとともに座り込み、迫る隊員に「帰れ!」と叫んで抵抗したが、あえなく排除された。「本当に家を奪われてしまうのだと思った。今でもあの時の恐怖は忘れられない」
この出来事が、住民と県側との決裂を決定的なものとした。「見ざる、言わざる、聞かざる」をスローガンに、住民はダム計画が存在していないかのように「徹底無視」を貫く。ダムの話題はタブーだ。住民は玄関に「県職員訪問お断り」と書かれたシールを貼り付け、用地買収の交渉は一切受け付けない。感情面の対立が激しさを増した。

▽洪水と大渇水
強制測量後、県側は動きを控える。「ダムのことは忘れて日常生活を送っていた」(松本さん)という92年7月、豪雨で石木川の本流の川棚川が氾濫し、町中が浸水。94年8月から95年4月にかけては、佐世保市で最大43時間連続断水、給水制限264日に及ぶ大渇水が起こった。
石木ダムは佐世保市への給水と川棚町の治水対策が目的だ。県関係者は「ダムがあれば氾濫は防げたし、渇水の被害も緩和できた。行政としては痛恨の出来事だった」。建設計画は息を吹き返す。当初は反対で一致団結していた住民側からも用地買収に応じる人が出始め、97~2004年度に計54世帯が立ち退きに同意した。
© 全国新聞ネット 石木ダムの建設に反対し、水没道路の付け替え工事現場付近で座り込む住民ら=19年11月13日
反対運動も再び活発化した。10年3月に水没予定道路の付け替え工事が始まると、反対住民は抗議して連日、重機の周辺に座り込んだ。「命を懸けた」行動で一時は工事を中断させ、中村法道知事と4回面談したが、決裂。両者が歩み寄ることは無かった。13年9月、国がダム建設に「お墨付き」を与える事業認定を告示し、翌年から県は土地の強制収用に向けた手続きに入った。19年9月、ついに県側は全予定地の権利を取得し、松本さんら残る13世帯は、法的には「国有地を不法占拠する元地権者」となった。

▽人口減でも需要増
県側が石木ダム建設の根拠とするのは大きく2点。一つは、佐世保市の水需要がこれから緩やかに増加していくという市水道局の予測だ。今から18年後の38年には、最大で1日当たり約10万6500トンの水需要を見込み、予備の10%を加味した約11万7000トンが必要と推計。佐世保市が保有する年間355日以上水を供給できる「安定水源」は、1日当たり約7万7000トンにとどまるため、ダムで残りの約4万トンを補うつもりだ。
市水道局によると、09~18年の1日最大給水量の実績値は約10万7600トン。この年は寒波で家庭用の配管が破裂する事故が起きており、残りの年は約7万7000~約8万2000トン。安定水源の供給量を超えた場合は、天候によっては取水できない「不安定水源」の約3万トンや民間の農業用水などを組み合わせて対処しているという。水道局の担当者は「水道事業者は常に水を安定供給できる施設の整備を水道法で義務付けられている。需要予測は必要最小限にとどめており、石木ダムを造ればギリギリ足りるという状況だ」と説明する。
ただ、佐世保市の人口は減少傾向にある。20年5月1日時点で約24万人が住んでいるが、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、今から20年後の40年には約21万人に落ち込む見通し。生活用水や工業用水の使用量の増加は見込めないとして、反対派は水需要予測を誤りだと主張している。

▽100年に1回の大雨
県側の2点目の論拠は、川棚町の治水対策でダム建設が最も費用対効果が高いとの試算だ。県河川課が19年に作成した資料によると、堤防のかさ上げや河道の掘削など7種の方法を検討した結果、ダム中止に伴って発生する費用約62億円を含めて210億~433億円程度かかる。このままダムを造れば、治水面に限ると今後50年の維持管理費を含めて約77億円で済むという。
反対派は石木川にダムを建設しても川棚川の流域面積の約8・8%しかカバーできず、上流部分での氾濫は防げないと主張。県が治水面で想定している「100年に1回レベルの大雨」という基準も過大評価で、他の対策の費用試算も誤りだとしている。川棚川と石木川を河川改修すれば対応できるとしており、双方の主張は平行線をたどっている。
© 全国新聞ネット 長崎県庁でダム計画反対派の地権者の話を聞く中村法道知事=19年9月19日
19年9月、約5年ぶりに中村知事が県庁内で住民との面会に応じた。参加者は住民約50人に限定し、場所は当日まで明らかにせず、入り口にバリケードを設けるなどの「厳戒態勢」だった。住民は代わる代わるふるさとへの思いを口にし、涙を流した。最後には立ち上がり「どうか事業の見直しをお願いします」と全員で頭を下げた。知事はうつむき、視線を合わせなかった。その場で「継続して対話する機会を設けたい」と述べたが、以降、両者の話し合いは一度も開かれていない。

▽ふるさと愛は悪か
知事との面会には、松本さんの長女で高校生の晏奈(はるな)さん(18)の姿もあった。「帰る場所がなくなるのは嫌だ。思い出が詰まったふるさとを奪わないでください。どうか私たちの思いを受け止めてください」と語りかけた。
松本さんは、強制収用によって、子どもたちにかつて自身が感じた以上の恐怖を味わわせることは許せないと感じる。年老いた祖母や両親にも、ここで最期を迎えさせてあげたい。「ふるさとを愛することは悪なのか。もう弱い者いじめはやめてほしい。水の確保や治水は何か他の方法が絶対にあるはず。県や佐世保市はまず対話に応じてほしい」
© 全国新聞ネット 長崎県庁で中村法道知事に石木ダム計画反対を訴える水没予定地に住む女児=19年9月19日
13世帯の土地の明け渡し期限を迎えた19年11月18日、住民約40人が県庁を訪れた。「石木ダムは県政の最重要課題の一つ」と公言する中村知事は節目のこの日、別の公務で出張のため留守だった。代わりに対応した平田研副知事は「ダムで恩恵を受ける人たちは大切な県民だ。行政代執行は選択肢から外さない」と告げた。私たちは県民じゃないのか―。会場の会議室には住民の怒号が飛び交った。

▽フラットな対話の場を
「隣町の水道水を確保するためにあなたの実家をダムに沈めても良いか」と問われたら、どう答えるだろうか。筆者なら嫌だ。「大勢のために少数の犠牲が必要」という考えは強権的で、民主主義社会にそぐわない。
確かに新たな水源や治水対策は必要なのかもしれない。でも、ふるさとに住み続けたいと願う人が居るなら、それを守るのも行政の仕事だ。県側と住民側をそれぞれ取材していると、お互いに感情的な対立が極まってしまっていると感じた。現状では何も解決しない。フラットな状態で対話できる場を設けてほしい。
もし13世帯を実力で排除し、立ち退きを強制することになれば、前代未聞の出来事だ。禍根は世代を超えて残り続け、関わった人間全員の背中に決して消えない十字架を刻むことになるだろう。

© 全国新聞ネット 石木ダム事業の経過

【石木ダム】長崎県と佐世保市が川棚町の石木川に計画する多目的ダム。計画では総貯水量約548万トンで、事業費は約285億円。当初の完成目標は1979年度だったが、今もダム本体は着工しておらず、現在の目標は2025年度。県は14年に強制収用の手続きを開始。水没予定地の13世帯は19年9月に土地の権利を失い、県側は全予定地の用地取得を終えた。現在、知事の判断で行政代執行し、住民や家屋を強制的に排除できる。国の事業認定取り消しを求めた訴訟は一審、二審で住民側が敗訴し、上告中。工事差し止めを求めた訴訟も一審は住民側が敗訴し、福岡高裁で係争中。

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