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流水型ダム(穴あきダム)の問題点

球磨川の治水対策として川辺川ダムを流水型ダム(穴あきダム)にすれば、河川環境への影響を回避できるような話が流れています。

他のダム計画でも、流水型ダムとすることによって、ダムの反対運動を押さえようという事例が多くなりました。

日本における既設の流水型ダム、工事中・計画中の流水型ダムは別紙の

日本の流水型ダム_ 1121をご覧ください。

既設の流水型ダムは益田川ダム、辰巳ダム,西之谷ダム、浅川ダム、最上小国川ダムです。

工事中は、三笠ぽんべつダム、立野ダム、足羽川ダム、玉来ダム、矢原川ダムです。

そして、計画中は、城原川ダム、大戸川ダムです。大戸川ダムは計画がストップしたままです。

また、石木ダムも利水機能がある流水型ダムとして計画されています。

 

しかし、流水型ダムが環境にやさしいという話は怪しげな話です。

別紙の流水型ダム(穴あきダム)の問題点

は以下の項目についてまとめたものです。お読みいただければと思います。

流水型ダムの問題点

1 自然にやさしくない流水型ダム

1-1 水生生物の行き来を妨げる障害物「副ダム」

1-2 濁りの長期化

1-3 ダム下流河川の河床の泥質化

2 流水型ダムの危険性 ―大洪水時には閉塞して洪水調節機能を喪失-

 

なお、既設の流水型ダムで最も大きいのは総貯水容量675万㎥の益田川ダムです。

川辺川ダムの元の計画は総貯水容量13300万㎥、洪水調節容量8400万㎥、堆砂容量2700万㎥でしたから、治水目的だけでつくるとしても、8400万㎥+2700万㎥=11100万㎥の容量になります。

仮に流水型ダムとして川辺川ダムをつくるとすれば、けた違いに大きい流水型ダムとなりますので、どのようなことになるのか、予想が付きません。

 

 

球磨川流域の治水策「もっと多くの住民の声聞いて」潮谷義子氏(前・熊本県知事)

2020年11月15日
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球磨川流域の治水策について潮谷義子・前熊本県知事のインタビュー記事を掲載します。

潮谷さんが言われることはもっともだと思います。

 

球磨川流域の治水策「もっと多くの住民の声聞いて」潮谷義子氏

(西日本新聞2020/11/15 11:00)  https://www.nishinippon.co.jp/item/n/664321/

(写真)インタビューに答える潮谷義子前知事

7月豪雨で氾濫した球磨川流域の治水策を巡る議論について、潮谷義子前知事(81)は西日本新聞のインタビューに応じ、川辺川へのダム建設の是非だけが注目される現状に「違和感がある」と述べ、「もっと多くの住民から意見を聞くべきだ」と強調した。 (聞き手=綾部庸介)

-豪雨後の治水論議をどう見ているか

「(国や県、流域自治体による)検証委員会はたった2回。国が数字を報告する形で進められ、『結論ありきでは』と思うことがある。検証結果をダム建設の根拠にするのであれば、少なくとも識者の評価とさほど差異が生じないようにしておくべきだ」

-ダムの是非がクローズアップされている

「そこに違和感がある。住民のつながり、住宅、福祉など被災者が今直面している課題を行政が一緒に解決する姿勢を見せながら、並行して議論していかないと、住民は安心できない」

「一方で、ダムにかかる費用の問題が出ていない。ランニングコストも含めて県民への説明責任を果たすべきだ。費用対効果も考える必要がある」

-潮谷知事時代も費用の議論はあまりなかった

「大きな反省点だ。基本高水流量など専門的な議論に深入りしすぎたことも含め、ダムができたら本当に洪水を防げるのか、住民が肌感覚で理解できるようにできなかった」

-今の蒲島郁夫知事は住民や団体への意見聴取会を重ねた

「意見聴取会(の出席者)は、代表者というニュアンスが強いように感じる。私が開いた住民討論集会は、反対、中立、賛成の人が発言したいと思えば誰でもできるように、フェアにやるように心がけていた」

-蒲島氏の意見聴取会は結論を出すためで、住民討論集会とは違うと

「そう。私は討論会で得たことを基に決断したかったわけではない。多くの人に『川辺川ダム問題とはなんぞや』ということを問いたかった。7時間に及んだこともあるが、多くの意見を聞くことが大事だと考えた。(蒲島氏は)ダムに限らず、もっと多くの声を聞くべきだ」

-「民意」がキーワードになっている。潮谷氏が考える民意とは

「当事者のニーズに応えることが大事だ。しかしその条件として、費用対効果と、当事者以外への説明の妥当性が問われる」

-蒲島氏がダム白紙撤回を表明したことへの評価は

「決断するのはいいが、表明するのが早かった。(水没予定地がある五木村の)地域振興の道筋が見えてからでも良かったのでは、という気持ちはあった」

「ただ次のステップで事業を終結させなければいけなかったが、蒲島氏は最後の詰めをしていない。私からすれば川辺川ダム問題は眠っていたにすぎない」

 

にじむ古里愛…熊本・川辺川ダム、賛否で割り切れぬ流域の民意

2020年11月6日
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蒲島郁夫・熊本県知事による球磨川治水策等についての意見聴取会が10月15日~11月3日に行われ、87団体・企業の代表98人と流域など13市町村の住民324人が参加してきました。

この意見聴取会を振り返った西日本新聞の記事を掲載します。

この記事の最後に書かれている次の文章が重要だと思います。

「ただ、さまざまな意見を踏まえて蒲島氏がダム建設の方向性を示したとしても、建設には河川法上の漁業権の補償が必要。過去には国が球磨川漁協に提示した補償案が否決されており、ハードルは高いとみる関係者もいる。」

 

にじむ古里愛熊本・川辺川ダム、賛否で割り切れぬ流域の民意

(西日本新聞2020/11/6(金) 11:30配信) https://news.yahoo.co.jp/articles/f4d09e858dfcbab2a0c7afe7f9e751b97423a9cf?page=1

(写真)住民の意見を聞く蒲島郁夫知事(手前)=10月24日、熊本県人吉市

7月の記録的豪雨からの復旧、復興と球磨川流域の治水策に民意を反映しようと、熊本県の蒲島郁夫知事が10月15日に始めた意見聴取会には、今月3日までに87団体・企業の代表98人と流域など13市町村の住民324人が参加した。焦点は最大の支流・川辺川へのダム建設の是非。「清流を守って」「安全な古里に」-。そんな言葉だけには集約できないさまざまな思いが聞かれた。地域や立場によって異なり、濃淡もある。

10月24日午後、人吉市の会場。隣に座る知人から背中をポンポンとたたかれ、女性(34)は意を決したように蒲島氏を見据え、口を開いた。「知事さん、ダムを造らないで。ダムを造ったら川は死にます」

女性が願うのは、幼い頃から親しみ、今はわが子の遊び場となった川辺川の環境の保全。同じように川への愛着を訴え、ダムに拒否反応を示す住民は少なくない。2008年、蒲島氏のダム建設「白紙撤回」を後押ししたのは、こうした住民の思いだった。

だが、12年前とは状況が違う。気候変動で豪雨は頻繁に発生する。熊本豪雨による球磨川の氾濫では50人が犠牲になり、人吉市での浸水は518ヘクタールに及んだ。同じ日、別の会場では被災者の男性が「人吉は『遊水地』になった。ダムしかない」と訴えた。

ただ、流域の民意は「推進」「拒否」という言葉だけでは割り切れない。ダムには反対でも「(通常は貯水せず、環境への負荷が少ないとされる)穴あき型ダムならば」と容認する意見もある一方、ダムからの緊急放流による水位の急上昇を恐れる人もいた。  関係団体の考え方もそれぞれ異なる。農業団体はダムを求めるが、ダムの補完策として浮上する遊水地には否定的だ。人吉球磨地域土地改良区連絡協議会は農地が遊水地の犠牲になることを警戒し、「田んぼは農家の財産。農家の同意は得られない」とくぎを刺す。

一方、球磨川や川辺川は、アユ釣りや川下りで全国からファンを集める「観光の核」でもある。相良村の漁業者は「川漁師の生計が成り立たなくなる」。八代市坂本町のラフティング業者は「良い川には人が集まり、にぎわいが生まれる。川が死んでは、その可能性はなくなる」と不安がる。

ダムの是非を巡って地域が二分された歴史も影を落とす。「(建設促進を決議した)市町村長さんが結論を出している」(10月24日、人吉市)、「治水に効果があるものは全て実施を」(今月2日、五木村)-。意見表明であえて「ダム」を避ける人も少なくない。  蒲島氏は年内の早い段階に「治水の方向性」を示す方針。治水策が定まれば、道路や河川、鉄道の復旧、宅地や市街地の再生といった復興への具体的な道筋を描けるようになる。

ただ、さまざまな意見を踏まえて蒲島氏がダム建設の方向性を示したとしても、建設には河川法上の漁業権の補償が必要。過去には国が球磨川漁協に提示した補償案が否決されており、ハードルは高いとみる関係者もいる。同漁協の堀川泰注(やすつぐ)組合長は「(当事者として)発言を慎重にしないといけない立場」と断った上で、「治水対策にどうのこうのとは触れない。組合員と協議して一番良い選択をしていきたい」と述べるにとどめた。 (古川努、中村太郎、村田直隆)

 

熊本日日新聞による<おさらい川辺川ダム>㊤、㊥、㊦

2020年10月29日
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熊本日日新聞による<おさらい川辺川ダム>㊤、㊥、㊦を掲載します。

国と熊本県は川辺川ダム計画復活の方向で動きつつありますが、㊥の記事を読むと、その復活は手続きの面でも容易なことではないことが分かります。

川辺川ダム無しの治水対策を考えるべきだと思います。

そして、㊦の記事が指摘しているように、川辺川ダムをめぐる現在の議論の主体は国、県と流域市町村であり、市民団体が同じテーブルにつく機会はまったくなくなりました。

2000年代はそうではなく、「川辺川ダムを考える住民討論集会」で国土交通省と住民側が公開の場で徹底した討論を行いました。そのような場が再び設けられなければなりません。

 

「多目的」計画 消えた「利水」「発電」<おさらい川辺川ダム㊤>

(熊本日日新聞2020年10月27日 09:31) https://kumanichi.com/feature/kawatotomoni/1656357/

(写真)第2回球磨川豪雨検証委員会の会合後、記者に囲まれ質問に答える蒲島郁夫知事=6日、県庁(高見伸)

国、熊本県と球磨川流域12市町村が、7月豪雨で氾濫した球磨川の治水対策を検討する「流域治水協議会」が27日始まる。検討に当たり蒲島郁夫知事は、川辺川ダムを治水の選択肢に含めると表明した。ただ、同ダム建設は、知事自らが12年前の2008年9月、県議会で「白紙撤回」を表明した事業。ならば今、そのダム計画はどうなっているのだろう。改めておさらいする。

今月6日、県庁で開かれた7月豪雨災害の検証委員会。国土交通省は「川辺川ダムが存在していたら、人吉市の浸水面積は約6割減っていた」-などとする推定結果を資料を交えて説明した。
しかし、そこで示された資料に首をかしげた人も少なくなかったろう。洪水調節の役割などを定めた川辺川ダムの「目的」の項目にはこんな記載があったからだ。
・かんがい用水の確保 【撤退表明】
・発電【撤退表明】

撤退表明とはさて、どういうことか。
「さまざまな経緯がありまして…平成19年(07年)1月、ダムを水源とした利水計画を取りまとめることはない、と国交省に説明しました」というのが、農水省・九州農政局(熊本市)の説明だ。
川辺川ダムからパイプラインで水を引き、球磨川右岸の3千ヘクタール以上に農業用水を届ける計画だった「国営川辺川総合土地改良事業」。現在は、計画の主柱である利水事業を廃止した上で、完成済みの一部パイプの撤去や配水施設の売却など残務処理を進める。「順調に行けば来年度、国営事業の完了公告を官報に掲載できる」(農政局水利整備課)
“さまざまな経緯”の最大の出来事が03年5月、福岡高裁で国の敗訴が確定した利水訴訟だ。事業計画変更の手続きに不備があるとして多くの地元農家が提訴。高裁は同意署名が法定数に満たないと認め、計画変更は無効と判断した。その後、農水省と地元の協議を経て、ダムの目的の一つだった「かんがい用水の確保」(利水)は失われた。

次に「発電」。基本計画では電源開発(Jパワー・東京)がダムから取水して水力発電所を設けることになっていた。ところが07年6月、同社は国交省の九州地方整備局(福岡市)に、ダム建設の見通しが立たないため、発電事業への参画を断念すると回答。発電もダムの目的から消えた。
こうして多目的ダムである川辺川ダムの現計画は、主目的の二つを失った。残る目的は「洪水調節」「流水の正常な機能の維持」(渇水対応)だけ。実態は、08年に蒲島知事が「白紙撤回」を表明するより前に、そのままでは着工困難な状況に陥っていたことになる。
それだけに12年後の今、おびただしい犠牲者を出した水害後の治水を検討する場に、「利水」「発電」を抱えたままの古い計画が持ち出される風景は、何とも奇妙に映る。(宮下和也)

 

 「穴あき」案 着工は?工期は?アセスは?<おさらい川辺川ダム㊥>

(熊本日日新聞2020年10月28日 09:26)https://kumanichi.com/feature/kawatotomoni/1657418/

(写真)蒲島郁夫知事(左手前)に今後の復旧・復興のあり方について要望する参加者=22日、球磨村(小山智史)

2008年8月、国土交通省・九州地方整備局は、それまで堤体が川をせき止める貯水型ダム(多目的ダム)として計画されてきた川辺川ダムについて、初めて「穴あきダム(流水型ダム)」の可能性に言及した。
穴あきダムとは、堤体の下部に穴があり、通常は水や土砂をためない治水専用のダム。洪水時には水がたまり流量を一定以下に調節する。国土交通省によれば、貯水型より自然の川の流れに近いとされる。熊本県内では建設中の立野ダム(南阿蘇村・大津町)がある。
蒲島郁夫知事が川辺川ダムの「白紙撤回」を表明したのは直後の9月だった。このため国交省の“方針転換”にはさまざまな見方もされたが、その時点で事実上、多目的ダムの建設目的のうち、「利水」「発電」の二つが消滅していた。治水専用ダムへの言及はある意味で当然だったかもしれない。

しかし、だとすれば今回、蒲島知事が選択肢に含めた「川辺川ダム」は、一体いつ着工していつ完成するのか。それは多目的ダムなのか。それとも治水専用ダムか。治水専用にした場合、特定多目的ダム法(特ダム法)に基づき進められてきた川辺川ダム事業は、大きな変更を迫られることになるのか-。
国交省の水管理・国土保全局治水課は、川辺川ダム事業が08年にストップした後も、水没地域の五木村の生活再建事業は持続しており、「川辺川ダムは他のダム事業とは異質なかたちで進んでいる」と説明する。穴あきダムへの転換など、今後の計画変更の可能性や根拠法も含め、「どういう形になるのかはまだ検討できていない」。

もう一つ気になることがある。環境影響評価(アセスメント)。ダムや発電所など大規模開発による環境への悪影響を防ぐため、事前に事業者が調査して対策を反映させる制度だが、川辺川ダムでは一度も実施されたことがない。旧建設省は1998年、川辺川ダム基本計画の変更を告示した。建設に賛否がある中、アセスの是非も議論になったが、当初計画がアセスメント法の施行前であることから実施されなかった。
それから20年余り。県の幹部はアセスメントの必要性について、「国は必要ないと言うかもしれないが、県はそれではもたない」と打ち明けた。アセスメントの実施には3年程度が必要と言われ、工期に直結する。

加えてダム建設には、球磨川漁協との漁業補償協定の締結が不可欠だ。過去の交渉では、国交省が一度は漁業権の強制収用を申請するほどの高いハードルだった(後に取り下げ)。
こうして見ると、仮に県や流域自治体が年内に川辺川ダム建設を決めたとしても、すぐに着工できるような状況には程遠い。「ダム論議の前に、安心して住める場所の確保を急いで」(22日、球磨村の意見聴取)。被災者の切実な訴えに対し、国、県、流域自治体の対応は、かみ合っていると言えるだろうか。(宮下和也)

 

「民意」どう問う 討論集会後、消えた対話<おさらい川辺川ダム㊦>

(熊本日日新聞2020年10月29日 09:52)https://kumanichi.com/feature/kawatotomoni/1658587/

2001年12月9日、相良村総合体育館で初めて開かれた「川辺川ダム」を考える住民大集会。約3000人が参加した

12年前の2008年、川辺川ダムの白紙撤回を表明した蒲島郁夫熊本県知事。当時、その理由を「現在の民意はダムによらない治水を追求し、今ある球磨川を守っていくことを選択している」と述べた。

そして現在。7月豪雨の深刻な被害を受け、県は改めて川辺川ダムを選択肢に含めた上で、球磨川の新たな治水方針を取りまとめるという。蒲島知事は記者会見で、この新方針について、「民意を問うことになる」と表明した。
民意を巡っては8月の「くまもと復旧・復興有識者会議」で、東京大大学院の谷口将紀教授がこう提言した。「あらゆる情報を十分に吟味した上で住民はどう判断するか。少なくとも科学的で中立的な世論調査、できれば住民投票なり、討論型世論調査なりで民意を見極めて」
重要政策の民意を探る手法として、近年注目されているのが討論型世論調査。一回限りの意見を調べるだけでなく、調査対象者に十分な資料や情報を提供、討論を重ねた後に再調査し、意見や態度の変化を見る。
確かに、川辺川ダムのように長く複雑な経緯を持つ問題で、民意を見極めるのはそう簡単ではない。県南だけでも数十万人の意見は多様であり、一枚のトランプのように、くるりとひっくり返るわけでもない。ただ、有識者会議がこのほどまとめた提言は、民意の重要性は指摘したが、見極めの具体的な手法には触れなかった。

08年当時の民意は、どのように見極められたのだろう。今と決定的に異なるのは、潮谷義子前知事の時代、01年から計9回にわたり開かれた「川辺川ダムを考える住民討論集会」の存在だ。
01年12月、相良村であった初回には約3000人が参加。ダム事業を推進する国土交通省と、反対派の研究者や住民らが約7時間、激論を交わした。
9回の開催中、賛否は最後まで平行線だった。だが、集会への参加や報道を通じ、住民に多くの資料と情報が提供されたことは間違いない。東京大教授だった蒲島氏に学び、潮谷県政を研究した中條美和・津田塾大准教授は、住民討論集会について「広く県民の前に(川辺川ダム)問題を顕示し政治問題化した」と分析している。(『知事が政治家になるとき』木鐸社)
「08年までは対話形式の議論があった。今、一番違うのは、流域の意見聴取が帳面消しのように進んでいる点だ」と「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の中島康代表。
県民の会など市民団体は川辺川ダムに一貫して反対、討論集会にも出席して論陣を張った。だが08年以降は風向きが変わる。10年以上続いたダムによらない治水対策も、7月水害の検証委員会も、議論の主体は国、県と流域市町村。市民団体が同じテーブルにつく機会はなくなった。

県は今月13日、流域住民や団体の意見聴取の会を翌々日から始めると発表した。矢継ぎ早に日程が追加され、計20回を超える。
「民意」は急ぎ足で吸い上げられていくのだろうか。(宮下和也)

 

 

川辺川ダム 賛成29% 反対34% 豪雨被害の球磨川流域住民 建設に慎重論

2020年10月29日
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共同通信が球磨川流域住民300人に川辺川ダム建設の是非をアンケートした結果についての記事を掲載します。

自宅や営む事業所が被災した180人のうち、反対は計37%(67人)、賛成は計26%(47人)、

一方、被災していない残る120人のうち、反対は計30%(36人)、賛成は計33%(40人)で、

被災者の方がダムは不要と回答した割合が高いという結果が得られました。

 

川辺川ダム 賛成29% 反対34% 豪雨被害の球磨川流域住民 建設に慎重論

(毎日新聞2020年10月29日 西部朝刊)https://mainichi.jp/articles/20201029/ddp/041/040/007000c

 

7月の豪雨で氾濫した熊本県・球磨川の治水策に関し、共同通信が流域住民300人に支流での川辺川ダム建設の是非をアンケートした結果、「不要」「やや不要」の反対意見を選んだ人は計34%(103人)で、「必要」「やや必要」の賛成計29%(87人)を上回った。

「どちらとも言えない」は37%(110人)。300人のうち豪雨による被災者が180人いたが、同様の傾向だった。流域市町村の首長がダムを柱とした治水策を求める中、住民間では慎重論が根強く、賛否も拮抗(きっこう)していることが浮き彫りになった。

アンケートは、浸水被害が出た人吉市や球磨村など7市町村で10~23日、対面形式により20~90代の住民に実施した。

熊本県の蒲島郁夫知事は2008年、ダム建設に反対を表明、翌年に民主党政権が中止の方針を決めたが、豪雨後に建設の是非を巡る議論が再燃した。

生活再建を急ぐ蒲島氏は、復興計画の前提となる治水の方向性を年内に示す方針。アンケート結果に関し、蒲島氏は28日、取材に「流域の生命財産と清流の恵み、両方を最大限守れる対策を講じたい」と述べた。

反対意見の内訳は「不要」78人、「やや不要」25人。記述式で理由を尋ねたところ「清流を守りたい」「ダムでは被害を防ぎきれない」との声が目立った。

賛成意見のうち「必要」は46人、「やや必要」は41人。「ダムがあれば水量を調整できる」「氾濫が怖い」という声が多かった。6割超に当たる56人は「豪雨後に必要性を感じるようになった」と回答。豪雨を経験し、賛成に転じた人が一定数いたことも判明した。

「どちらとも言えない」と答えた人は「ダムに翻弄(ほんろう)された歴史があり賛否は示せない」「ダム以外の対策も講じるべきだ」などを理由に挙げた。

自宅や営む事業所が被災した180人のうち反対は計37%(67人)、賛成は計26%(47人)。被災していない残る120人のうち、反対は計30%(36人)、賛成は計33%(40人)で、被災者の方がダムは不要と回答した割合が高かった。

7市町村は八代市、人吉市、芦北町、錦町、相良村、球磨村、あさぎり町で、7市町村の人口は計20万1443人(10月1日現在)。八代市は被害が甚大だった坂本町地区で調査した。

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